東北 登山記録

【吾妻連峰】西吾妻山 雪山登山(敗退)~厳冬期の深雪ラッセルと西大顛の樹氷(スノーモンスター)~

投稿日:2017年1月26日 更新日:

福島県と山形県の県境にまたがる「吾妻連峰」へ厳冬期遠征登山してきました!吾妻連峰は西大顛(にいだいてん)から吾妻富士、東吾妻山まで大きく裾野を広げる巨大な山塊。最高峰は「西吾妻山(にしあづまやま)」で標高2035mです。

西吾妻山(西大顛)雪山登山

西大顛の麓にグランデコリゾートがあるので、今回はスノボのバスツアーを利用して夜行バス移動、翌朝から登山という工程。厳冬期の東北、初のバスツアー登山と初めて尽くしですが、まさか「初の登頂断念」まで付いてくるとは出発時には夢にも思わず・・・。

絶景にも出会えたし、経験値が大幅に上がった登山だった一方で、初の敗退を喫する苦い思い出も残ったのでした。

初めてのスノボバスツアー!始まりは新宿の例の場所

都心部からスノボ・スキーバスツアーに参加する場合、たいてい「新宿西口の高架下」が集合場所。今回も例に漏れず新宿の例の場所に集合です。着いた時間が早かったのでまだ閑散としているものの、ここからスノボに向かう大量の学生の中へまみれます。

私自身、ここからよくスノボに行ったものですが、もし「今の私」のようにザックにピッケル装備の奴がここに居たら「は??」と思うこと間違いなし。事実、登山目当ての客は私一人だけでした。かなり浮いてます。

まあそんなことは気にせず、バスが来たので出発です!この歳にもなると、深夜バス移動が結構辛いのですが、値段的には往復のバス+リフト券+スノボレンタルで8000円程と、その他の方法と比べて断然お得。

(今回参加したスキー・ボードツアーはコチラです)

バスに乗り込むとまさかの最前列!

しかし、ここで事件が。添乗員さんが「あれ?最前列は空シートのはずなんですが・・・お客様、座る位置を今一度ご確認いただけますか?」

どうやら3列目と3番を誤解して座ったみたい。座り直すために移動しようにも、そのためには後ろ全員が座り直す必要があり、全員で席を交換する羽目に。おいおい、誰だ席を初めに間違えた奴は?怒らないから名乗りでなさい。

・・・俺です。

 

グランデコリゾート

バスに揺られ、7時頃グランデコリゾートに到着。ぐう・・・深夜バス疲れますなあ。早くブルジョワになって新幹線で移動するなり近くのホテルに前泊するなりしたい。

着いた時の天気は一見すばらしいものの、西側(日本海側)にはどっさり雲が。さて、どうなることやら。

スキー場ということで、可能な限りゴンドラ&リフトを駆使して標高を稼ぐ。まずはゴンドラに乗りますが、開始が8時なのでそれまでレストハウスで準備をしながら待ちます。

バスではあまり眠れなかったのでウトウト。

ツアーに付いているリフト引換券で1日券をゲット。

スノボの目的じゃないのにゲレンデに来る日が訪れようとは、なんだか不思議な気分です。

「修学旅行専用レーン」だと?修学旅行でスキー・スノボしに来てるのだろうか?

平日の朝一ということで、それほど人もおらず、ゴンドラの開始直後に乗り込みます。

周りは当然スノボをしに来ている人たち。自分の違和感がハンパじゃない(笑)

昔、スノボしてる時にゲレンデを歩いてる人を見て「何してんの???」と思ったものですが、まさかそちら側の人になる日が来ようとは。一昨年までじゃ考えられません。

ゴンドラを降りて第4クワッドリフトへ向かいます。

・・・第4クワッドリフトの稼働は9時から\(^o^)/暇

ザック持ってゲレンデの真ん中で待つの、浮き過ぎてちょっと恥ずかしいんですけど。とは言え、ここで無駄な体力は使いたくないので、しばし待機です。

ザック持ってる変なおっさんの横を修学旅行生達がスキーしてました。同行のカメラマンの方とお話ししながら時間を潰す。寒すぎてカメラの電池が普段の半分しか持たないと仰ってました。一眼レフもしかりで、氷点下の世界では電池の減りが普段とは比べ物にならない程早いので要注意。

私は電池を計3つ持っているので心配ないですけどね。ちなみに、交換電池はタオルで包み、温めて持ち歩いてます。バッテリーはそれくらい寒さに弱いんです。

なお、修学旅行は長崎の学生で、今日はスキーしてそのまま東京(というかディズニーランド)に向かうんだとか。

9時になったので第4クワッドリフトでゲレンデの最上部へ。ここから、スキーヤーとボーダーは滑走していきますが、私はさらに上を目指します!あの木の中に突入していきますよ。

・・・というか、自分以外に登山者がいないのですが?もしかしてボッチ登山でしょうか?普段は一人が好きだけども、厳冬期の東北とか、ちょっと心細い。他に仲間がいてほしいと思うのでした。

まず目指すは西大顛、道なき道をラッセル

さあ、いよいよ登山スタート。特にこれと言った登山口もないので、適当な所から突っ込んでいきます。

おうふ。めっちゃ積もってるな、雪。というか、トレースがない・・・。まさか初めからずっとラッセル?今思えば、この段階でこの積雪量。ここから始まる地獄の予兆はこの時からあったんだな。

しばらく進むとトレース発見!心の奥底から安堵します。トレースがないとラッセルが大変なだけじゃなく、道も自分で決めないといけないので、肉体的精神的な負担が大きい

トレースはバックカントリー(ゲレンデじゃない自然の山でスキー・スノボ―すること)のスキー跡みたい。足跡はないので、どうやらここしばらく登山客はいない様子。

トレースに沿って進んでいきます。はじめは順調(本当にはじめだけ)。誰もいない東北の山を独り占め。

すばらしい景色なんですけどね、飯豊山方面から流れてくる雲が切れません。今日は高気圧が来てるからいい天気を期待してましたが、高気圧の位置が南すぎたのと、南高北低の気圧配置で、日本海側から湿った風が入ってるみたい。

実は、中部辺りは快晴だと知りながら東北に来ました。いろいろな山域に挑戦したいと思ってのこと。なので天気は仕方がないとしても、ちょっと、東北の厳冬期登山を甘く見てたかも。

太ももラッセル

パねぇ。歩き始めてすぐ、太ももラッセルの始まりです。太ももまで雪が積もっていて、全然前に進めない。今日は西大顛まで進み、そこから西吾妻山に行く計画。「西吾妻まで行けるか?」という心配が開始直ぐ頭をよぎる程に雪深い。

雲が広がって、視界はあまりないけれど、薄い雲の奥の朧げな太陽、手前には雪の木々が連なっていて、これはこれで美しい。神秘的な光景に見惚れながらも、ラッセルが疲れすぎて焦ってきました

バスツアーで来ているので帰りのバスに間に合わせる必要があります。マイナス10℃の山の中、かなりの汗をかいてしまう。それでも、後にも先にも登山客がいないので、自分で道を切り拓くしかない。

人気の山なので他にも登山客がいるものと思ってましたが、厳冬期の東北なんてそんなに居ないもの?(ただ単に平日だからかも)

GPSの現在地と参考コースタイムを照らし合わせてみると、なんと進むのに3倍もの時間がかかっている!?つうか全然進んでないぞ俺\(^o^)/汗

膝上ラッセルが基本で、深い場所は腰ラッセルという事態(腰の上まで雪があるということです)。こうなると足を振り上げて雪を踏みつけられないので、いったん膝で雪を潰してからそこに足を乗せるという二段階のステップが必要に。そんなことをやっていると、1m進むのに1分かかる場所がある程

冬の西吾妻山と言えば、何といっても樹氷(スノーモンスター)が有名。樹氷が見れるのは、蔵王山、八甲田山、西吾妻山、八幡平など限られた場所だけ。今回の登山の目的はもちろん、そんな樹氷、スノーモンスターを見に来たわけであります。

標高が上がるごとに木々がモンスター化してきました。下の方では枝が見えていたのに、この辺りまでくると雪が全体にまとわり付いて不思議な景観を創りだしている。

神秘的で美しいんですが・・・実際は「ハアハア」言いながらひたすらラッセルしてます。アカン、体力の限界やで。深夜バスだから余計かもです。

無理だ・・・これは無理だ。今まで厳しい登山はあれど、登頂失敗したことはなかったのに。

時間的にも、体力的にも、西吾妻山まで行くのは無理無謀。今回は諦めるしかなさそうです。なんかホワイトアウトしてきたし。しばらく「白い世界」に閉じ込められてるので、ちょっと雪目(雪と太陽光の反射で目がおかしくなってくること)っぽくなってきました。

「敗退」

いつかはそんなこともあるだろうと思っていましたが、いざ目指していたピークに到達できないとなると、悔しいものです。

だがしかし、西大顛までは絶対行ってやろうじゃないの。

無心で進むうちに、気が付けば目の前に樹氷が見えてきました。

GPSで現在地を確認すると、いつの間にか山頂に到着していたようです!

西大顛(1982m)

西大顛(1982m)登頂です!独標があるのかないか分かりませんが、いずれにしても埋もれて見えないでしょう。GPS的には間違いなく山頂に着いているので、登頂ということで!

体の芯まで疲れたけど、辺りにはスノーモンスター達のひしめき合う絶景が!

すごいぞスノーモンスター!はじめて見る樹氷に感動。ここまで壮絶なラッセルだったので、何とか樹氷を見れて本当に嬉しい。西大顛から西吾妻山へ向かう雪原に広大な樹氷原があるんですが、それはまたいつかの機会という事で。

樹氷と樹氷の間を歩きながら、立派に育ったモンスター達にただただ圧倒されました。青空の元もいいけれど、白い世界も悪くない。

ちなみに、樹氷の周りにはツリーホールと言う穴が開いているので、近づきすぎるのは危険。はまると一人では脱出困難らしいので、この手の登山では一番気を付けたいところです。

まだまだ見ていたい気持ちはあれど、末端が痛くなってきたのでそろそろ退散です。西吾妻山まで行けなかったのは悔しいけれど、西大顛までは登り切ったので、実は結構満足していたり。

帰りはサクサク進みます。

ああ、トレースがあるって幸せなことです

帰りにバックカントリーの親子に出会い、開口一番「ラッセルありがとうございました!」と感謝され、なんだか冬山登山の一員になった気がしました。

これまで、雪山登山ブログで「ラッセルが、ラッセルがぁ!」という記述を見て「んな大げさな」と思っていましたが、想像を遥かに超える重労働でした

ラッセルとは?

ある程度下ったところで、お昼ご飯を食べながら休憩。久しぶりにダンボーさんの記念撮影などをしておりました。

通常状態

ダンボーさんを使ってラッセルを説明してみますと、これが通常時で、足が埋もれてない状態。雪道と言えど、歩くのにさほど苦労しません。

膝上ラッセル

膝上ラッセル。ここまで足が埋まると疲れます。雪の中から足を引き上げるのが大変なんです。

腰ラッセル

腰ラッセル。こうなると1m進むのに大変な労力を要します。膝で雪を押し下げ、その上に足を乗せてつぶしながら進むことに。死ぬ程疲れます。複数人で登っていればラッセルを交代できますが、私のようなロンリー登山者は辛いとこですね。

今日一番やばいなと思ったのがコレ。下山時に調子乗って前にこけた時。足は埋もれてるわ傾斜は付いてるわで起き上がれない!?雪が柔らかいから手で押し上げることもできず、雪が深すぎてストックは地面まで届かないし、胸にあるカメラは雪に埋もれるし・・・前に転ばないよう気を付けましょう。

 

第4クワッドリフトは下りで使えないので、スキーヤーを横目に、ゲレンデを歩いてゴンドラまで戻ります。

グランデコリゾートのマップです。人も多くないし、なかなか良さげなゲレンデでしたよ。

西大顛から西吾妻に行くには、少し下ってから登り返す感じですね。その辺りはスノーモンスターの巣窟で、スケールの大きさだけで言えば蔵王より大きいそう。次はこそは必ず・・・。

スノボのレンタルもツアーに含まれているので本当はやるつもりでしたが、疲労でそれどころではなく、バスの時間までお菓子食べながらまったりしてました。温泉入りたかっただけど、最寄りの温泉はホテルの中、ホテルまではバスとのことで、断念。

後はバスに揺られて新宿まで帰るだけ。

お疲れ様でした(๑´ڡ`๑)

コースタイム

  • 22:30 新宿西口駐車場
  • 7:00 グランデコリゾート 着
  • 8:30 ゴンドラリフト
  • 9:00 第4クワッドリフト
  • 9:15 登山開始
  • 12:30 西大顛 山頂
  • 14:30 ゴンドラリフト
  • 16:30 グランデコリゾート 発
  • 21:15 新宿 着

登山データ

  • 日程:2017/1/26
  • 行程:2017/1/25 新宿発夜行バス 2017/1/26 グランデコリゾート → 西大顛 →グランデコリゾート →新宿
  • メンバー:単独
  • 天候:曇り
  • 主なピーク:西大顛(1982m)
  • 備考:西吾妻山は時間的、体力的に登頂断念。

西吾妻山登山を振り返って

厳冬期に東北の山というチャレンジングな登山でしたが、ラッセルの勉強にもなり、絶景にも出会えた素晴らしいものでした。登頂断念、敗退はどこかで経験するもの。西大顛のピークを踏めた中でそれを味わったので、結果オーライということで。

樹氷を見るには1月中旬~3月上旬が狙い目のようです。樹氷は、過酷な環境だからこそ形成されるものであり、青空の元でスノーモンスターを見れたら幸運間違いなしですね。

それにしても、福島県は名峰が多い。磐梯山、吾妻山、安達太良山と素敵な山が目白押し。次来るときには吾妻山でスノーモンスターと青空のコラボ、そして磐梯山の眺めを楽しみにしています(๑╹ڡ╹๑)p♪

           

  1. ぴぽぱ十勝 より:

    大変でしたね~。
    ラッセルラッセルって、ラッセルって、何?と思いましたが、ダンボーさんの説明で理解出来ました。
    誰も通ってない雪原に道を作っていく、最初の足跡を残す事?でいいのかしら?
    膝上ラッセル位なら、私も毎年体験してるかも。どか雪降った翌朝の通勤時に(笑)
    ただ歩くだけでもかなりしんどいのに、重たい荷物を背負ってだなんて、そのまま雪に埋もれて動けなくなりそうですね?
    よく帰って来ました。お疲れさま。

  2. 清宮 健太 より:

    こんにちは(๑´ڡ`๑)
    そうですよね、私も雪山登山のブログを読んでいた際「ラッセルってそんなに大変なんかい?」と思ったりしてました。
    仰る通り、雪原にブルドーザーのように突っ込んでいくことをラッセルと言います。
    荷物があって、かつ登山では「傾斜」があるので、平地と比べて非常にキツイ作業となります。
    しかし、十勝さんのように北海道で多少なりとも経験しているのであれば強いかもしれませんね(๑╹ڡ╹๑)p♪
    北海道の雪山も絶対行きたいと思っております!

  3. のうじゅう より:

    写真の積雪量を見てゾッとしました( ゚Д゚)
    これだけのラッセル登山、ホントお疲れ様です!

    にしても、スノーモンスター凄いですね!
    ホントに木?と疑いたくなりますけど、実際に目の当たりにしたらと思うと・・・
    写真で見ただけでも、その迫力に圧倒されちゃいました!

  4. 清宮 健太 より:

    こんにちは!
    さすがは東北の厳冬期と言ったところでした汗
    西吾妻山は良くも悪くも多くを経験することができ、とてもいい勉強になりましたね(๑´ڡ`๑)
    樹氷は最高、圧巻でしたし。
    実際に見ると、多くの方が「大きい」と思うはずです。写真で見るより迫力があるんですね。
    北海道も豪雪地帯の山は雪がすごそうですね!
    私も再来年辺り、北海道の雪山に遠征登山したいなと思ってます。
    やはり初めは「旭岳」ですかね(๑╹ڡ╹๑)p♪

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名前:清宮(きよみや)
2016~2017年、自転車日本一周達成。日本一周中に山の魅力に気づき、そのまま登山と山岳写真にハマる。でっかいカメラ担いで日本中の山を歩いています。夢は山ガールと登山すること。


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