登山ノウハウ

山岳写真のはじめ方:登山で写真を撮るための手順と気を付けるべきポイントとは?

投稿日:2019年7月27日 更新日:

Yamasha (15)

いきなりですが、登山をしながら写真を撮りたい派ですか?

それとも、写真を撮るために山に登る派ですか?

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両者いらっしゃいますよね!どちらであれ、山には確かに絶景が広がっています。

この記事では、登山をしながら山の写真を撮るためにはどういう手順が必要だろう?どんな準備をしたらいいんだろう?山での撮影フローは?

私もまだまだ山岳写真を始めたばかりではありますが、日本全国色々な山に登って来ましたので、これまでの経験やワークフローに則り、山岳写真のリスクも併せて説明してみたいと思います。

これから山で写真を撮りたいと考えている方の一助になれば幸いです。

【準備1】行きたい山域の決定と撮りたい山岳風景のイメージ

日本には数多の山岳が広がっています。

まず、行きたい山域を決めましょう。

行きたい山域は北アルプス?南アルプス?はたまた北海道?

あまり山の情報に詳しくないという方は、登山ブログをいくつか読み漁ってみたり、ヤマレコなどから調べるのが手だと思います。

まずは純粋に行ってみたい山域を思い描いてみましょう。

Yamasha (5)

山が撮りたいのか。山からの風景が撮りたいのか。山岳写真の醍醐味でもあります。

次に、その山域や地域の中で行きたい山をリストアップします

まだあまり山に詳しくないという方は、ここでもブログを参考にして、そこから見える景色と山容を研究しましょう。

山岳風景には、山頂から見える景色を撮るのか、あるいはその山を撮るのかでアプローチが変わってきます。

北アルプスのように大きな山域であれば、複数の山をピックアップします。

複数の山を候補に挙げる理由は、行きたいと思っても、時期によっては、登山レベルによっては行けないこともあり得るからです。

【準備2】登山の難易度を徹底調査

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雪山の山頂で夕焼けを狙う…自身の経験から挑戦できる山を選ぶことは、山岳写真でとても重要です。

行きたい山が複数決まったら、それぞれの登山難易度を調べてみましょう。

多くの方がブログで「初心者でもおすすめ」「ある程度山に登ってから」などコメントしてくれています。

山域によって必要な日数も大きく異なります。

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初心者の方でも歩きやすい北アルプス唐松岳から五竜岳を望む。

自分の登山の経験から、行きたいと思った山の中で、現実的に行けそうな山をピックアップしましょう。

机上の事前準備はとても重要です。

時期が夏山か、雪山か。登山口までのアプローチは簡単か、複雑か。集めた情報をまとめて戦略を練りましょう!

【準備3】撮影場所の考察と選定

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霞沢岳K1ピークより穂高岳の南側から撮影。

登りたい山域、アタックしたい山が決まったとして、何となくの登山計画も見えてきました。

次に決めたいのは、撮りたい山岳風景をどの角度から撮るかということです。

ある山を狙う場合、東西南北どこから撮影するかによって見え方はガラリと変わってきます。

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焼岳より。同じく南側より穂高を望むが、見え方は異なる。

山によってはある角度からの風景が圧倒的に有名だったり、撮影しやすい場合が多いのも事実。たとえば、上の穂高岳は東西南北いずれも素晴らしい景色をつくりだしているため、登山経路によって見える景色はガラリと変わります。

同じ角度でも、撮影するポイントにより見え方は変わります。

登山路の中のどのポイントから撮るかと言う事も非常に重要です。山頂直下なのか、少し下った中継地点か、あるいは隣の山か。ここも情報を集め、良さそうなポイントを考えましょう。

そのポイントが最適だったかどうか、それは行かなければ分かりません

簡単に撮りに行けないからこそ面白い。

山岳写真は難しい側面が多いからこそ、やりがいが大きいと感じます。

【準備4】登山計画の確定と撮影時間帯の検討

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モルゲンロート/アーベントロートは山岳写真の基本の基。ご来光と夕景をどのポイントで迎えるかがポイント。

山岳写真に彩を与える朝焼けと夕焼け。山が赤く染まる景色は圧巻。山ではそれぞれモルゲンロートとアーベントロートと呼ばれています。

私の場合は、ご来光と夕焼けをどこで迎えるかという観点から、登山計画を立てていきます。

何時に自宅を出て、何時に幕営地について、何時に撮影ポイントについて、と詳細を確認していきます。

「ご来光の時間が〇:〇〇だから、幕営地を〇:〇〇に出発して、写真を撮ろう。その後、〇:〇〇に着いて、幕営地に戻る…と。」

地図をしっかり読み込み、コースタイムを吟味して、撮影ポイントに遅れることなく到達できるよう気を付けます。事前準備を徹底することが、安全な登山にもつながるので極めて重要です。

登山計画とご来光/日の入りの撮影場所を事前にシミュレーションしておきましょう。

日の出と日の入りの時間は要事前確認

山に入ると電波が無いことが多いです。

ご来光と日の入りの時間が何時なのか、事前に確認してメモしておきます。

下界とは異なり、山の標高分ご来光はやや遅く、日の入りはやや早くなるので要注意。

【準備5】撮影に必要な機材の検討

行きたい山、登山計画、撮影ポイントなどが決まって来ました。

山岳写真は通常の登山ではありません。通常の登山道具に加えて撮影機材も運びます。

撮影ポイントから被写体までの距離を地図から考え、必要なレンズを持って行きましょう。

撮影機材の選定以上に重要な事は、その機材を運ぶ体力があるかということ。

まずは撮影機材を運びながら簡単な山に登り、自分の実力を確かめることは必須のステップアップです。

山岳写真に必要なカメラとレンズって?

広角・標準・望遠すべてを持って行くことは難しい。むろん、全て持って行くのがベストですが、相当重くなります。

重要なのは撮りたいイメージに必要なレンズを忘れない事。山での場合、多くは広角と標準でカバーできるはずですが、望遠レンズでしか撮れない景色もあります。私の優先順位は標準レンズ>広角レンズ>望遠レンズです。

単焦点レンズは画質がきれいですが、何を撮っているのかテーマのぼやけた山岳スナップになりがち。

カメラの種類に関しては、一眼レフかミラーレスなら基本的には大丈夫。画質もですが、堅牢な造りをしたカメラが望ましいです。

【準備6】登山日の天気チェック

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ガスに包まれなければ何かしらの景色は撮れる。ガスだけはどうにもならない。

さあ、ここまでで撮りたい山の選定、登山計画、機材の選定が終了しました。

いよいよ登山直前。ここで重要なのは登山当日の天気です。

山ほど天気が安定しない場所は無く、晴れだと思っていたけどガス、雨かと思っていたけど絶景、なんていうのはよくあること。

ガスに包まれると何も撮れませんので、雨予報の時は出発しないのが無難です。ガスが晴れた直後や天気が崩れる前には朝焼けと夕焼けが劇的な表情を見せることが多く、そんな時は大興奮間違いなし。下界では絶対に見られない景色をぜひカメラに収めたいものです。

雨だったら必ずしも登山中止・撤退?

1日目は低気圧により雨、しかし2日目は高気圧に覆われて晴れる…そんな予報の時もあります。

山岳写真に重きを置いた登山では、写真撮影時にベストな天気になっていることが最も重要なので、移動日が荒天でも登山に行くことはあります

特に縦走でしか行けない山域では、全日が好天ということは難しいもの。

多少の雨風でも行動できるようになると、登山および撮影登山の行動幅がぐっと広がります。

ではどうしたらいいか?

晴れの日ばかり歩くのではなく、たまには意図的にこういったスケジュールで出発してみましょう。

リスク管理も重要ですが、経験より心強いものなんてありはしないんですから。

【撮影1】ロケハンと撮影イメージの微調整

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地図だけでは分からない、ベストな撮影場所は現地で見極めます。

いよいよ登山当日、登山口から撮影場所へ到着しました。まず着いたらしたいこと、それがロケハンです。

山岳写真は平地の撮影と異なり簡単にロケハンができません。特に初めての登山では本番一発勝負であることもしばしば。

そのため、できるだけ早めに撮影場所に赴き事前に想定していた撮影イメージと一致しているかチェックします。

他に良さそうなポイントがあれば、現地で調整して変更することもあります。

【撮影2】被写体の多角的な撮影

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その場の雰囲気を残すには少し引いた角度から。

登山の末に、苦労の末に、撮影ポイントで山の写真を撮るのは本当に楽しいもの。

いつも夢中でシャッターを切っています。

しかし、後で後悔しないためにも、なるべく被写体を多角的に撮影しておきましょう。

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天気がイマイチの場合、山の質量を伝えたい場合は思い切ってアップで。

山の角度、遠近感、被写界深度、前景など。その場ではいいと思っていても、後で見返すと「もっとこう撮っておけば良かった」と思わないことはないくらいなので、できるだけバリエーション多く撮っておくことをおすすめします。

ご来光や夕景の場合は撮影できるベストな時間が限られていますので、可能な限りベストなアングルを事前に決めておきたいですね。

【撮影3】撮った写真の振り

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広角で前景を大きく入れた方が良かったと、後から振り返る。

山岳写真に限らず、写真は撮った後に振りかえらないとなかなか成長できないと思っています。

簡単に見に行けない景色だからこそ、一回の成功確率を高めたい。

登山計画を踏まえて、撮った写真のアングル、レンズの選択、撮影場所の選定など、次回また同じ場所に行った際、より良い写真が撮れるように反省会をすることが非常に重要だと思っています。

山岳写真にまつわる疑問にお答えします

Yamasha (10)

私自身、山岳写真で気を付けていること。

これから山で写真を撮りたいと思っている方が知っているとちょっと得することをQ&Aでまとめてみたいと思います。

普通の登山と何が違うの?

登山では、計画したルートを歩いて山頂に到達し、無事に下山することが目的だと思います。一方で、写真を意識した登山、特に写真を撮るために登っている場合は理想とする写真を撮ることが目的です。

必ずしもピークハントするわけでもなく、必ずしも有名な山に登ることが目的ではありません。「写真」の比重をどれくらい置くかによってスタイルは変わってくるはずです。その比重が登山から写真に傾くほど、例えば多くの機材を運ぶかもしれません。同じ山に何度も何度も登るかもしれません。

登山の目的が山を歩き写真を撮ることであるならば、登山に加えて写真撮影の分、普段よりやっていることが増えるので、通常の登山よりリスクが上がると考えています。

写真など撮らず、目で見て記憶に焼き付けた方がいいのでは?

それも本当にアリだと思います。写真を撮ろうと思うと、どうしても景色を見ることに100%集中することはできません。その場の臨場感を余すことなく感じたいのであれば、写真を撮らず記憶に焼き付けるというのも大いにアリです。

しかし私は、山の写真を撮るのが好きなんです、あの圧倒的な迫力を、写真に収めることが何より楽しいんです。だからこそ、どんな苦労をしてでも山の中で写真を撮りたいと思うんです。

これから山岳写真を始める場合、まず何が必要?

これから登山を始める場合は、まず登山に必要な装備一式。山岳写真は基本的に日帰りではなく山で泊まることが前提だと思っています。その為に、テント泊装備、必要なウェアが何より大事です。

その上で、写真を撮るという意味で、一眼レフ/ミラーレスと好みのレンズ、さらには三脚とレリーズが必要です。

重たい撮影機材を運ぶのは登山のリスクを高めるのでは?

間違いのない事実です。登山では、荷物は軽い方がいいに決まっています。だからこそ、山の中で写真を撮ることに重きを置くのであれば、登山の経験をしっかりして、かつ重たい機材を運べるだけの体力が必要です。

リスクに打ち勝ちながら、登山計画を遂行できる高い計画能力と自分自身のマネジメントが必要だと思っています。

機材はどれくらい軽くすべき?

2泊や3泊の縦走登山では、登山装備だけでかなり重たくなります。水が採れない山では特にです。そんな時は最低限、三脚+カメラボディ+標準レンズ(+広角レンズ)かなと思います。

撮影スポットが被写体から離れている場合には70mm以上のレンズが欲しいですが、基本的には上記装備でもかなりカバーできるはずです。

山の天候で撮影機材が壊れることはない?

雨の時にカメラやレンズを野ざらしにすることはないでしょう。ガスに包まれたり、霧雨の時が一番怖いです。カメラ内部が結露してしまうと写真が全く撮れませんので、湿度が高い時や、雪山登山でテントからカメラを出し入れ数時などは特に気を遣う必要があります。

山の天気はどうやって知ったらいい?

自身で勉強することはとても重要です。気圧配置から山での天気、撮影に適した天候をある程度推測することは素人でも可能です。

こちらの書籍は幅広くかつ深く山岳気象について書かれているのでおすすめ。天気予報で言えば月額数百円で利用できるヤマテンは登山家から厚い信頼を得ています。山岳写真やるなら必須の天気予報だと思います。

山岳写真にお勧めの機材ってあるの?

今はコンデジも性能がとてつもなく上がっていますが、しっかり写真を始めるなら今後を見据えて一眼レフかミラーレスがおすすめです。

また、今の時代の流れ、今後のカメラやレンズの時流を考えれば、新調するのであればミラーレスカメラがいいと思います。

しかし一方で、山岳写真で何より重要なのは、感動の瞬間に出会うことができるか、その景色をきちんと写真に収めることができるかどうか。もしすでに一眼レフやミラーレスを持っているのであれば、まずはそのカメラから始めることで全く問題ないと思います。

山岳写真で一番大切なことは?

体力をつけておくことです。とにかく、体力です。山を歩き切る体力が無ければ山岳写真はできません。

重たい撮影機材を運ぶ必要がある山の写真では特にです。どれだけ絶景が広がっていても、まずはそこに辿り着けなければ話になりません。頻繁に山を歩くこと、山にいない時も筋トレやランニングを欠かさないこと。

体のメンテナンスが山岳写真では本当に重要です。

素敵な山岳写真ってなんだろう?

もし自分が撮った写真をプリントしたり、写真集にしたらと想像してみてください。ディスプレイを越えて素敵な写真だと思えるということは、やはり素敵な山岳写真だと思います。

山岳写真の主役は山であると考えています。山の存在感、空気感、その場の臨場感が伝わる写真こそ素敵な山岳写真ではないでしょうか。

写真の中で「山」をどれくらい大きく写すかによって印象が異なります。小さくして周囲の景色を入れるほど、主題がややボケるので注意が必要です。

スマホでよくないですか?

スマホでも割ときれいな写真が撮れる時代になりましたが、あくまでスマホで見る前提の写真です。

PCやプリントしたら見れたものではありません。

特に山岳写真は朝や夕方撮ることも多く、この時間帯にスマホで一眼レフやミラーレスのような写真を撮ることは現状不可能です。

登山計画はどれくらいの距離を選ぶべき?

通常の登山と比べて、撮影機材で重くなっていることに加え、意図した時間に目的地に到着しなければならないストレスなども生じます。そのため、山頂を踏破するという通常の登山の意識ではなく、いつもよりも余裕を持った登山計画を立てましょう。

具体的には行動時間は6~7時間までが心地よく、8時間を超えるような山行で撮影を行うとかなりしんどいはずです。具体的な距離というよりは、行動時間をある程度限定して、撮影のための気力・体力を残しておくことが重要です。

山岳写真を始めるのにおすすめの山は?

近くに幕営場所か山小屋があり、ご来光や夕景の写真が安全に撮れる山がいいですね。北アルプスの唐松岳と白馬岳は山頂直下に山小屋と幕営地があり、かつ暗くてもそれほど危険性が大きくないのでおすすめです。

一方で、五竜岳は山頂と山小屋が近いように感じられますが、山頂から五竜山荘まで急峻な下りが待っており、ナイトハイクになれていないと、山頂で夕日を撮ったら困窮してしまうということもありえます。朝夕の撮影を前提とするならば、安心して幕営地/山小屋まで帰れる山をはじめは選びましょう。

この条件で言えば、中央アルプスの木曽駒ケ岳から宝剣岳を撮るのもおすすめ。他にはド定番ですが、涸沢や燕岳もおすすめですし、剱御前小舎に泊まって別山から剱岳を撮るのもいいですね。

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